スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

野沢尚 『深紅』

久々の更新です。
最近色々と身の回りの環境が変わりなかなか更新することができませんでした。
すいません。
ペースは落ちましたが読書は続けてますからご安心ください。
どんな境遇にいても読書は続けていきたいと最近あらためて誓った乱歩なのでした。

さあ今日は 故・野沢尚さんの作品です。


内容
憎悪に蝕まれていく心の闇を描き尽くす、書下ろし長編サスペンス問題作
一家惨殺事件。
生き残った長女と、加害者の娘。2人は、出会ってはならなかった。
12歳の初夏。両親と幼い弟2人は、父の仕事相手に惨殺された。遺体の顔面はハンマーで砕かれ、家の中は家族の血で満たされた。8年後、加害者の1人娘を捜し当てた時、胸の奥底に封印した真っ赤な憎悪があふれ出し、奏子の扉を決壊させた。



乱歩の勝手にRanking
ランク:


感想
みなさんは家族が皆殺されて自分一人だけになったらどうしますか。
私はきっと恨みつらみをずっと抱えて生きていくことでしょう。
そして加害者やその家族に対して自分と同じ思いをさせてやりたいと思うことでしょう。
両親と幼い2人の弟を惨殺された。
父は加害者の恨みを買い、その道ずれで家族が殺されたのだった。

本書はたったひとり生き残ってしまった女の苦悩の人生を描いています。
遺児の名は奏子。
奏子はたまたま修学旅行中で殺されずにすんだのだ。
旅先から何も聞かされずとりあえず病院に向かう奏子が乗ったタクシー。
その間約4時間。
これが後々トラウマとなり発作として彼女に襲いかかります。

ところで生き残った遺族はこういう考えを持ってしまうのでしょうか。
もちろん被害者であるので加害者への恨みは計り知れません。
しかし奏子は自分の存在意義というものを人生のなかで模索しているのです。

一家が殺され偶然にも生き残ったしまった自分。
なぜ自分だけ生き残ってしまったのか。
なぜ自分が選ばれたのか。
なぜ一緒に連れて行ってくれなかったのか。
なぜ弟たちが生き残らなっかたのか。

このような”なぜ”が遺族であるにも関わらず奏子は必要以上に自分を追い込んでしまいます。


我々には一家惨殺事件で生き残ってしまった人間の気持ちは想像が付きません。
しかしそんな孤独な遺児が事件発生からずっと引きずってしまっている微妙な心理がとてもうまく描写されていました。

月日が経ち家族を殺害した男が死刑になる報告が奏子の元に届いた
その時奏子はある考えを持つようになります。

「加害者の娘に会ってみたい」

加害者の娘は奏子と同い年。
彼女の名は未歩。

現実ではちょっとありえない考えかもしれない。
しかしこの展開は作者が本当にこの本で表現したかった”罪を背負うということ”と関係してくるのです。

加害者の罪を裁く法律
被害者の罪を裁く世間

立場は違うが罪を背負って生きていかなくてはならない娘たち。

奏子が幼いころからずっと抱いていた「私は生きてていいのだろうか」という疑問。
それを共有できるのは加害者の娘しかない。

奏子は素性を隠したまま未歩と接近する。
そして徐々に親しくなっていった。
ここから更なる驚くべき展開が待ち受けているのだった。


被害者の家族や加害者の家族を題材にした作品は多い。
しかし本書ほど”残された者”を深く掘り下げた作品はあまりないのではないか。
ありえない様な話ではあるが、もしかしたらありえる様な話のような不思議な感じがする作品でした。

ブログパーツ




スポンサーサイト

theme : ミステリ
genre : 小説・文学

tag : 野沢尚

comment

Secret

No title

深紅、読みましたよ。
善人だと思っていた父親が、
実は悪人だったという真相には、
身震いしました。
物語前半の描写は、見事でしたね。

Re: No title

清貧おやじさん
コメントありがとうございます。
この父親には困ったものですね。
前半の描写は実際に体験したかのようなリアル感がすごいですね。
この方がもうこの世にいないと思うともったいないです。
最新記事
人気記事ランキング
乱歩のお勧め度
最近のコメント(コンパクト)
データ取得中...
作家別
プロフィール

乱歩

Author:乱歩
推理小説入門へようこそ。
おすすめ推理小説があったら教えてくださいね!
コメントお待ちしています。

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
FC2カウンター
カウンター
フリーエリア
ブログランキング
リンク
最新トラックバック
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。