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東野圭吾 『秘密』

内容
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。解説・広末涼子、皆川博子



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ランク:特A


感想
東野圭吾の傑作の一つ。
映画化もされた作品の原作なので読んでみた。
読んだ後の余韻がたまりませんでした。
とてもせつなくなりました。
平介と自分を置き換えて読んでいるとかなり感情移入してしまいました。

「秘密」は推理小説ではありません。
犯人はいません。トリックもありません。
現実にはありえないことが題材となっています。
東野圭吾の世界観が繰り広げる異色のミステリーです。

小説全体は夫平介の視点で描かれています。
妻直子の内面の描写はありません。
あくまで平介の視点に立って読者が想像することになります。
したがってこの本は読み手によっていろいろな解釈ができる作品といえます。
読み終えた後、ネットで検索した中にもこの本に対する様々な解釈がありました。
謎掛けミステリーが読み終えた後の読者に深い余韻を与えているのです。

メインは平助と妻直子の精神が宿った娘藻奈美との奇妙な生活が描かれています。
最初は平介はこの生活がまんざらでもなかった。
平介はお互いが秘密にしてさえいればこのままの生活でもよいのではないかと思っていた。

しかしそんな都合のいい生活は続きませんでした。

直子は成長するにつれて再び訪れた青春をおうがするようになります。
平介はしだいにそんな直子に嫉妬するようになります。

このあたりの平介の心の葛藤がとてもうまく描かれています。
男の悲哀といいましょうか・・・悲しすぎます。
このあたり女性読者は違った感想を持つのかもしれません。

またこの「秘密」は事故を起こして死んだ運転手の人生も見事に描いています。
平介が自分と死んだ運転手の人生を重ね合わせる時、平介の心の葛藤をさらに浮き彫りにします。

さて二人にとっていったい何が秘密であったのでしょうか。
娘の体に死んだはずの妻が宿ったということだったのでしょうか。
私は違う様な気がしました。

二人は別々の秘密を持ったのではないでしょうか。
自分しかわからない心の中の秘密。
読まれた方はどのように感じられましたか。

「直子を想い、自分は気づかないふりをすること」
これが平介にとっての一生の秘密だったのではないかと私は思います。

では直子の場合はどうでしょう。
これが私は考えれば考えるほどわかりません。
男の立場として、直子の思いがこうあってほしいというのはあるのですが・・・。

実はしたたかな女だったのかもしれません。

このようにさまざまな憶測を呼んでいるこの作品。
読み終えたら一度じっくり二人の気持ちを考えてみてください。
ぜひお勧めしたい作品です。

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theme : ミステリ
genre : 小説・文学

tag : 東野圭吾

comment

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No title

「秘密」読みましたね。
かなりドキドキしました。
確実に記憶に残る話でしたね。
これぞ「読む」楽しみ。

Re: No title

> 「秘密」読みましたね。
> かなりドキドキしました。
> 確実に記憶に残る話でしたね。
> これぞ「読む」楽しみ。

清貧おやじさん
コメントありがとうございます。
名作ですね。
男にとっては切ない物語でした。
人によって色々な感想をもつ珍しい作品です。


優しい二人の悲しい物語

読者の作中人物のイメージの作り上げ方が、性善説か性悪説かで、直子のイメージがガラリと変わる作品ですね。
「秘密」に登場する主要人物達は、不幸があったり葛藤を持て余していますが、まじめで優しい人ばかりです。
平介も、勿論直子も。

平介の決断を悲しみながらも受け入れた直子の覚悟。
その覚悟を偶然にも知ってしまった平介の覚悟。

2つの覚悟は決して明かされることの無い、自分だけの秘密です。
何度読み返しても、私には涙ながらには読み進める事が出来ない作品です。

Re: 優しい二人の悲しい物語

> 読者の作中人物のイメージの作り上げ方が、性善説か性悪説かでガラリと変わる作品ですね。
> 「秘密」に登場する主要人物達は、不幸があったり葛藤を持て余していますが、まじめで優しい人ばかりです。
> 平介も、勿論直子も。
>
> 平介の決断を悲しみながらも受け入れた直子の覚悟。
> その覚悟を偶然にも知ってしまった平介の覚悟。
>
> 2つの覚悟は決して明かされることの無い、自分だけの秘密です。
> 何度読み返しても、私には涙ながらには読み進める事が出来ない作品です。

新参者さん
コメントありがとうございます。
「秘密」はすべて平介の視線で描かれているところが重要ですよね。
直子の心理描写がない分、特に男性読者は感情移入して自分にとっての直子像を作り上げます。
そして自分の大切な人に例えるといっそう切なくなります。
私は読了後、一人風呂に入って色々思い出して胸が熱くなりました。
ぜひ夫婦で読んでもらいたい名作だと思います。



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